Chapter 12

勇気を出す時

悠真は、健太の励ましもあり、莉子に自分の本当の気持ちを伝えに行く決意を固める。過去のトラウマを乗り越え、まっすぐに莉子に向き合おうとする悠真。彼の胸には、強い決意が宿っていた。

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夕暮れ時、茜色の空が校舎を染め上げていた。放課後の教室には、もうほとんど生徒の姿はなく、静寂だけが満ちている。そんな中、佐倉悠真は一人、窓の外をぼんやりと眺めていた。いつもなら、この時間には親友の田中健太が隣でくだらない話をして、彼を笑わせていたはずだ。けれど今日は、健太はどこか遠い場所へ行ってしまったかのような、そんな気配を漂わせている。

「……大丈夫だよな、俺」

ぽつりと呟いた声は、空虚に響いた。胸の奥には、ずっと前から渦巻いている、言葉にできない感情があった。橘莉子への、どうしようもなく募っていく想い。初めて彼女を見たときの、あの衝撃。まるで世界が色づいたかのような、鮮烈な記憶。それからというもの、悠真の日常は、すべて莉子を中心に回るようになった。彼女の笑顔を見るだけで心が弾み、彼女の些細な仕草にドキドキし、彼女の言葉に一喜一憂する。それは、悠真にとって初めての、そして何よりも大切な感情だった。

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